新型コロナウイルスと歯科診療

2020.05.11

新型コロナウイルス感染症の感染はようやく落ち着いてきましたが、第2波、第3波も懸念されまだまだ予断を許さない状況です。

 

感染リスクが高いとマスコミ等でいわれる歯科医療現場ですが、我が国では現在のところ、歯科治療を通じて歯科医師や歯科衛生士から患者さんへ感染した事例の報告はありません。

私たち歯科医療人は新型コロナウイルス感染症の感染拡大以前から、院内感染を予防すべくウイルス感染対策 (肝炎・エイズ等) を講じ継続しております。

それらはスタンダードプリコーション(来院者は何かしらの感染症を有していることを前提にした感染対策)と言われ、我々はそれを長く実践しております。そして今回の新型コロナでは感染予防のガードをさらに高めております。(前月に新型コロナウイルスに対する取り組みとしてコラムに記させて頂いております。コチラをクリック

 

このように可能な限りの対策をしていても感染症罹患のリスクはゼロではありませんので、重症な基礎疾患をお持ちの方や妊娠していらっしゃる方で治療、予防の緊急性のない処置は延期をさせて頂くこともあります。

 

一方、治療や予防が早期に必要な方の場合、歯科治療の延期による健康面のマイナスも考えられます。

 

・歯の痛みを我慢すると、食事が摂れなくなり、体力・免疫が落ちてしまいます。 また歯の神経が壊死したままの放置は顎骨の炎症を招きます。

・糖尿病や人工透析中など持病がある方は、歯周病の悪化が全身状況の悪化につながる可能性が高くなります。

・口の中が不衛生だと、細菌性の肺炎リスクが上がり、新型コロナウイルス性肺炎に罹患した際、重症化しやすいことが知られています。

・介護現場等での口腔環境の悪化は、特にそのリスクを高めます。

・口腔内の出血は口腔内細菌の内毒素が毛細血管に入り込み動脈硬化や糖尿病のリスクを高めます。

今は、誰もが新型コロナウイルス感染症にかかる可能性がある時だからこそ、口腔内の状態が芳しくない方は命を守るためにも、口腔ケアが大事です。

 

診療の継続・延期、メンテナンスの継続・延期などが今この時点で必要か否かはご自身での判断をなさらずにご相談ください。

 

来院いただくことが難しい場合は、電話等による診断等も行います。

 

新型コロナウイルス感染症に関する新しい知見は日々更新されておりますので、皆様に安全・安心な歯科医療体制を提供するため感染防止対策を更新していく所存でございます。

 

ご不明な点やご質問がございましたらお尋ねください。

 

院長  香坂陽介