飲み物とむし歯の関係

2022.06.13

こんにちは歯科医師の中村です。
暑くなってきましたね。この時期になってくると冷たい飲みものも増えてくると思います。そこで、飲み物とむし歯の関係についてのお話です。

一般的にコーラは歯に悪いイメージをお持ちだと思いますが、ほかにも身近なスポーツドリンク、清涼飲料水、健康ドリンク、酒類のなかにも、歯に悪いものが身近にあふれています。

これは、砂糖だけでなく飲み物、食べ物の酸性度が大きく影響します。

酸性の飲料を飲むとすぐに、口のなかは歯が脱灰(溶けやすくなる)しはじめる酸性度に達します。
しかし通常は唾液が出てきて5,6分で中性にもどるので心配いりませんが、チビチビ飲みをするとずっと酸性の状態が維持されて、歯が脱灰していきます。

これは「酸蝕」といって、むし歯菌の活動に関係なく歯が溶けていくのです。これを引き起こす酸のなかでも、クエン酸は酸蝕能が強いので摂取には注意が必要です。クエン酸はグミやあめなどにも多く含まれます。

またスポーツドリンクなどには、酸以外にも多くの糖が含まれるため、むし歯菌が糖をエサにして酸を生み出していきます。飲料の酸とむし歯菌の酸の両方が複合的にかかわるため、このタイプのう蝕は進行が非常に早く、通常むし歯が出来にくい部分にも発生したり、深いむし歯をつくるのです。

日常生活のなかで気を付けることは、まず酸を含む飲食物を頻繁に摂取しないことです。ストローで歯に触れないように飲むのも効果的です。また、酸性のものを飲食する前後での歯磨きは避けましょう。

直前の歯磨きはバリアーとなるたんぱく質の膜を歯から剝がしてしまいます。
直後の歯磨きは歯がより削れやすくなるので、1時間は歯磨きを控えてください。酸性のものを口にしたときに1番効果的なのは唾液を出すことです。ノンシュガーなどのガムをガムやあめで唾液をだして、それが無理なら水でくちをゆすいで下さい。

定期的な歯科医院での高濃度フッ素の塗布が、むし歯・酸蝕の予防の基本となり、家庭用のフッ素材使用が理想的です。

以上、食品に含まれる酸の話でした。